天皇杯 浦和レッズ v. 横浜F・マリノス

天皇杯5回戦が今年からはシーズン中に行われるようになった。というわけで4回戦でコンサドーレ札幌を1-0で下した横浜F・マリノスと、同じく4回戦で愛媛FCを延長で辛くも下した浦和レッズの対戦となった。場所は香川県の丸亀。首都圏チーム同士の試合が地方で行われるのも天皇杯の風物詩。応援に行く身としては面倒この上ない。

さて、4回戦の札幌と5回戦の浦和。目指すところはそれぞれ違っていても、それぞれの問題を抱えているチームらしく、そんな浦和のゴール裏。

またマンション建設反対かよ!

やたら長い一発幕は既に浦和のゴール裏の名物というか、定番になってる気がする。宮崎吐夢風に言えば「ダンマクは長けりゃいいってもんじゃないってことを肝に銘じておいてくださーい」という感じか。長すぎて本当に言いたいことがよく分からんぜ。選手が出てくる前に片付けるあたり、「誰に」言いたいのかは札幌サポーターよりは分かりやすいし、目の前の試合に対してはちゃんと切り替えてる感じ。何だかんだ言って、サポーターの熟成度は札幌とは比較にならんよなぁとか思った。

試合は前半の早い時間帯に狩野健太田中隼磨のゴールで横浜が2点リードする理想的な展開も、前半終了間際と後半開始直後に1点ずつ入れられ同点に。その後は横浜GK榎本哲也のスイッチが入ったらしく神がかり的な好セーブを連発。試合は延長になり、横浜がもう一度盛り返す空気を作るも決着までは至らず、PKへ。俺が横浜ゴール裏に行き始めてから3年くらい経つが、天皇杯5回戦が90分で終わった記憶が無いぜ。

PK戦はひたすらに横浜のボールを蹴る選手、あるいはGKの榎本哲也の名を残りわずかのあらん限りの体力で叫ぶ。祈りにも近い想いを声に乗せてPKの行われている反対側ゴール裏まで届けようと、ゴール裏は必死。その声に応えるよう、次々とPKを成功させる横浜。一方の浦和も失敗しない。

横浜も浦和も5人全員がPKを成功させ、サドンデスに。

先行横浜6人目は栗原勇蔵。いつものフリーキックと対照的なやわらかいキックで難なく成功。浦和の6人目は鈴木啓太。コースの甘かった鈴木啓太のキックを「カンで飛んだ」榎本哲也がセーブ。この瞬間に横浜の天皇杯準々決勝進出が決定。

そこから先の記憶は曖昧だったりする。

ただ、いい年こいた大人が揃いも揃って泣き顔だったのは覚えてる。もちろん自分も例外なく。後から思い返すとかなり照れくさくはあるけれども、その瞬間のゴール裏は本当に美しかったと思う。あの時、一緒に泣いて、一緒に抱き合って喜べる仲間がたくさんいたことは本当に幸せだった。

試合終了の瞬間に大の大人が一斉に泣き崩れるほどの強い「勝つ」という気持ち。これを残りの試合でどれだけもち続けられるか。残留のためでも、天皇杯のためでも、ましてやACLのためなんかではなく。目の前の1試合にどれだけ全力を注げるか。そしてそれを続けられるか。

今はもう、千葉戦のことしか頭の中に無いです。

残留争いの直接対決ということもあって、勝てば一気に残留が近づく試合ではあるけど、そのこと自体をこの試合に向けてのモチベーションにしたくない。もっとシンプルに「勝つってことはこんだけ嬉しいんだぜ」っていうのをモチベーションにしたいね。

あんまり写真取れなかったけど、試合終了後のスタジアムの写真をなんとなく撮ってみた。

ここから丸亀駅までこの時点からあと1時間以上かかるとは、このとき夢にも思っていなかった…。