テレビアニメ「氷菓」の話

京都アニメーションが制作した「氷菓」は米澤穂信さんの「氷菓」「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」「遠回りする雛」(<古典部>シリーズ)を原作とするテレビアニメーションで、米澤穂信さんと京都アニメーションのファンである自分がすごく楽しみにしてた作品でした。

いわゆる「日常の謎」と呼ばれるミステリにカテゴライズされる作品で、謎解きの部分の面白さや、心を針で刺されるような鈍い痛みを伴うお話を、本当にちゃんと映像化できるのか、楽しみにしながらも不安を抱えて待っていたことを思い出します。

実際に完成したアニメは、もちろんミステリの謎解きの部分の表現に関しては小説の方が圧倒的にアドバンテージがあるものの、米澤穂信さんの最高の魅力だと思っている「なぜそれをやったのか」という部分においてものすごい密度と繊細さで描かれており、原作の魅力が余すところなく伝えられるそんな作品でした。

アニメ終了後も<古典部>シリーズは続いており、「ふたりの距離の概算」「いまさら翼といわれても」と続きも書かれています。シリーズは主人公の折木奉太郎の高校卒業まで続くらしく、それらの作品をまた京都アニメーションによるアニメ作品としても見られたら嬉しいなとずっと思っていました。

心動かす素敵な作品を、本当にありがとうございました。青春の苦さを鮮やかな色彩で切り取ったあなたの作風が大好きでした。 心よりご冥福をお祈りいたします。